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2025/04/04 中岡 茂
国有林は全森林面積の約3割を占め日本の環境にとって重要な存在であるのだが、日本は長らく木材生産を優先してきた。1989年の制度改正によって自然保護へも目を向けられるようになったが、いまだ木材生産への偏りは残る。
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2025/03/12 中岡 茂
岩手県大船渡市の山火事は、山間部独特の被害対策の難しさを感じた。日本における山火事の原因は、ほぼ100%人為であり、繰り返すのは、個人だけではなく社会全体の問題である。森林にかかわった経験から愚見を述べてみたい。
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2025/02/19 中岡 茂
銘木と言われる天然木(高品質材)は各地に存在して、国有林野事業の収入を支えていた。林野庁は成績を上げるべく伐りまくったのだが、やがて自然保護の反対運動が起こる。各地の自然保護活動に対して、国有林はどのような対応をしていたのか。
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2025/01/17 中岡 茂
人々へ反撃しているのはクマをはじめとした野生動物だけではない。その生息の母体となる森林についても目を向ける必要がある。
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2025/01/16 中岡 茂
今季も野生のクマの出没が話題になっている。もはや野生動物の目には、都市空間は最上級の森林として映っているのかも知れない。人間は、かつての山村のように野生動物と生活をともにしているという心構えを必要となっていると言える。
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2024/11/27 中岡 茂
林業の一応の成果品は丸太である。これを製材屋が買って、柱や板に加工するわけだ。そのとき、どのような木が高く売れるのか。実はそこに枝打という作業の意味がある。ただ、能率悪い作業であり、その判断が分かれる部分だ。
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2024/11/07 中岡 茂
造林には、除伐とつる切という作業があるが、これをどのように行うかによって造林作業や森の姿は変わってくる。特につるに関しては、造林木の大敵であるのに対し、民芸品や薬用酒の材料になるなど、山村の生活を豊かにする側面もある。
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2024/10/10 中岡 茂
日本で一番広大な人工の創造物は何か?それは人工林である。およそ1000万ヘクタール、全森林面積の40パーセント、国土の27パーセントに及ぶ。その植付は、数十年先の木材需要を見据える必要がある。過酷な下刈を支えるのは。
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2024/09/27 中岡 茂
人工林を造成する造林を稲作に見立てられがちだが、作物に合わせて農地の環境をつくる農業に対し、林地の環境に合わせて育成する樹種を選ぶ林業は全く異なる。この樹種の選択を間違えると、向こう数十年間、取り返しがつかなくなる。
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2024/08/16 中岡 茂
林業のアキレス腱は何かと問われれば、躊躇なく労働安全と答える。単発的だったので社会問題までにはならなかったものの、林業経営を圧迫する要因であり、特に超大林業経営体の国有林では深刻であった。
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2024/07/30 中岡 茂
国の森林・林業政策は、昭和30年代後半に儲かる林業へと転換した。生産性の向上が第一であり、経営を大規模化しようとした。しかし、大規模林業経営の権化である国有林野事業の失敗を目の当たりにした筆者は、それが解ではないことを断じたい。
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2024/06/27 中岡 茂
森林整備を目的とした「森林環境税」の徴収が始まった。この税は林野庁の「悲願」とも言えるものなのだが、その使い道がいまいち見えてこない。そもそも税を創設する際に、既存の補助事業を精査して、別枠なら別枠らしく、特化した内容にすべきである。
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2024/05/22 中岡 茂
市場においては、高く売れるものを精力的に生産し、販売することが経済活動の定石と言えるが、国有林事業においてはそうもいかない現実もある。現場作業員や変化を望まない役所、優遇措置を受けている地元業者と、さまざまな障害がある。
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2024/05/02 中岡 茂
戦後の日本の国有林事業は多額の負債を抱えた負の歴史とも言えるが、その間に多くのものを失い、破壊し、また残したもの、新しく生み出したものもある。
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2024/04/26 中岡 茂
多くの国民が国土の3分の2が森林であることを意識しないで、見かけは安穏な都市生活を享受している現代である。しかし、その価値が国民的理解もなく、政治的議論もなく蝕まれていくとしたら、禍根を千載に残すであろう。
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2024/03/18 中岡 茂
機会があって先日、花粉発生源対策が実行された現場を見た。手法はスギ・ヒノキ人工林の皆伐と花粉の少ないスギの植栽であって、林野庁が実施しようとしている花粉発生源対策の先行事例とみてよいだろう。現場の実態を検証してみよう。
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2023/11/27 中岡 茂
十数年前筆者が群馬森林管理署長だったとき、ニホンジカの有害獣駆除業務に立ち会った。この筆者の経験から、昨今のクマ被害続出にへの対策についての問題点が見えてくる。
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2023/11/23 中岡 茂
今秋はクマによる人への加害が急増して連日報道されている。今年はクマの行動範囲が山間部から市街地へと広がっているようだ。このクマの行動範囲拡大は容易に予想できたにも関わらず基礎的調査を怠って、対策が後手に回ったと言える。
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どちらが優先?花粉症対策と森林保全③
2023/09/25 中岡 茂岸田政権が掲げた花粉症対策を錦の御旗に、林野庁の悲願であった皆伐が進められようとしている。これは、せっかく育った森林を無為に破壊し、国土保全をないがしろにして国民の生命・財産を危険にさらし、瀕死の林業と山村を滅ぼしかねない。
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どちらが優先?花粉症対策と森林保全②
2023/09/15 中岡 茂林野庁の概算要求を見ると、「花粉症対策」で「国産材の供給・利用量の増加」「木材輸出の強化」「担い手の育成・確保」と、実現性の低いものが並ぶ。細々ながらも継続されていた木材生産としての林業は、花粉症対策によって壊滅することになるだろう。
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